大阪市大正区在宅医療介護連携推進事業・多職種事例検討会

令和5年8月1日
 

講師:大正区医師会副会長 本庄尚謙
司会:大阪介護支援専門員境界大正支部 副理事 藤山信子
テーマ:8050問題を考える虐待事例についての考察

1.挨拶
大正区役所
歯科医師会 中山 盛詔 会長
薬剤師会  鈴木 理恵 会長

テーマ:『8050問題を考える虐待事例についての考察』
参加者数:会場38、Web27名

1,事例検討会
事例は実際に虐待通報があった90歳女性を長男が介護しているケースで、本人、家族共に施設入所や入院に対する拒否が強く、在宅介護を希望していました。介護者は、自宅に人が来ることにストレスがあり、サービスを増やすことも難しい状況がありましたが、本人と介護者の気持ちに寄り添いながら介護上の課題を分析し、サービス調整し、在宅で看取りまで支援した成功事例でした。まず、脱水で入院した後の退院前カンファレンスまでの事例報告を行い、その情報を基にグループワークを行い、その後、在宅復帰から看取りまでの支援状況を報告する形で行われました。
支援のポイントは、まず、本人、介護者の思いを確認し、在宅の介護上の問題点を明確にすることで虐待に至る原因を明確にし、小規模多機能サービスの利用で一貫としたサービスにしました。看取り時は、主治医とケアマネが同じ方向性でサポートし、介護者の不安の解消を努めました。
<まとめ>
今回のケースでは、表面的には虐待事例でしたが、本人と主介護者の気持ちに寄り添いながら、主治医とケアマネが密接に連携を取り、小規模多機能での柔軟な対応が出来たことで虐待がなくなり適切な援助に繋がりました。

2.大正区保健福祉課より大正区虐待通報状況(令和3年度) 
虐待通報10件(身体的6件、心理的4件)で、警察と包括支援センターからが多く、他に民生委員や近隣住民からの通報になっています。被虐待者は、80~89歳が最も多く、虐待者は夫や息子が大半です。虐待原因は、介護疲れや経済的困窮等でした。
虐待通報後の対応は、まず事実確認を行い必要に応じ訪問をし、必要に応じ、介護サービスの調整や生活保護申請、本人や家族の精神科への受診、生命に危険が及ぶと考えられるケースでは施設入所や措置入院を進める等です。

3.研修後のアンケート結果では、「医療介護連携の重要性を感じた」「成功事例を振り返ることで課題分析の大切さや取り組み方等、学びに繋がった」という意見が多く、また、多職種でグループワークをすることで「違った視点を知ることが出来た」「日頃の悩みを共有する事が出来た」と言う回答を多数頂きました。

今後も、頂いたご意見を基に研修会開催を行っていきます。たくさんのご意見を頂き有難うございました。

大正区在宅医療・介護連携相談支援室 山本 美幸